母指CM関節症とは
母指は親指のことで、母指CM関節症では親指に力がかかる動作をする際に手首の母指の付け根付近に痛みが生じます。手根骨と呼ばれる手首を構成する骨の列と指を構成する中手骨との間にはCM関節があります。親指のCM関節は可動域が広く、「握る」「つまむ」などの動作により大きな負担がかかります。このCM関節が変形性関節症を起こしたものが母指CM関節症です。
母指CM関節症の症状
関節の隙間が狭くなり、関節症変化による骨硬化が起こり、骨棘が形成されていきます。軽度で痛みが起こる場合もありますし、重度になっているにもかかわらずほとんど痛みがない場合もあるので注意が必要です。
初期症状
「握る」「つまむ」といった動作の際に、手首にある親指の付け根付近で痛みが起こります。瓶の蓋を開ける時や、ボタンをかける際の痛みで気付くケースがよくあります。
中期症状
手首にある親指の付け根付近が膨らんできます。これによって親指が開きにくくなってしまいます。
さらに進行した場合、親指の指先にある関節が曲がり、手前の関節が反り返る「白鳥の首」変形が起こる場合もあります。
母指CM関節症の原因
親指は他の指と向き合うことでさまざまな動作を可能にしています。CM関節はこうした役割を担う関節であり、大きく動きます。そのため使い過ぎや加齢などにより、CM関節は関節軟骨の摩耗が起きやすくなっていきます。
また、生活する上でCM関節は負担を受け続けるため、関節が腫れ、亜脱臼が起こって母指が変形するといった進行も起こりやすいのが特徴です。
母指CM関節症の診断
親指の付け根にあるCM関節に腫れがあり、押した際に痛みます。また捻るような動作で強い痛みが生じます。似た症状を起こす腱鞘炎やリウマチによる関節炎と区別するためにX線検査を行い、CM関節の隙間や骨棘の有無、亜脱臼などを確認します。
母指CM関節症の治療
保存的療法では、消炎鎮痛剤入りの貼り薬、CM関節保護用の軟性装具などを使った固定を行います。装具は手に合わせてその場で作成し、取り外し可能です。軽度の場合には、就寝時に装具を付けて数週間過ごすだけで症状がなくなる場合もあります。親指から手首にかけて8の字に固めの包帯を巻いて動きを制限するのも有効です。また、痛みが強い場合には、消炎鎮痛剤の内服や関節内注射を行う場合もあります。
亜脱臼や、白鳥の首変形、薬物療法では緩和しない強い痛みがある場合には、手術を行います。CM関節を固定してしまう関節固定術の他、大菱形骨の一部を切除して靱帯を再建する切除関節形成術などがあります。